呼ばれぬままに。


這い蹲り、赦しを請う。
その頭を踏み付ける。
踏み躙り、笑う。
私と、私。


雨が止めば、冷めてしまう。
花が散れば、醒めてしまう。
唇が動けば、褪めてしまう。
何処にも誰も、何処にも誰も。


淋しさとは、斯様なもの。
痛みとは、このようなもの。
悲哀の血は、今も赤いか。
それとも紅いか、それとも、朱か。


貴方はもう、いない。
貴方は、もういない。
貴方は、もう、いない。
貴方は、もう、いないのだから。


今宵もまた、弑するだろう。
穢れと罪の証明は、何故、こんなにも軽々しかろう。
慾に塗れて、恋を殺める。
刃を呑むように、名を噛み締めて。



04/12 11:18 | 宛名の無い手紙 | CM:0
数える、花弁。


指折り数える年月が、飽和する。
あの卯月、あの夜の日々が、いつのことか思い出せない。
造られた箱庭で、作られた虚実を、ただそれだけを礎に。
創られ、抉られ、戻される日々。


空気が霞めば、呼吸は止まる。
白濁した視界と、生温いばかりの風。
花が咲くのを待っていたのに、いつしか散ることだけを願う。
荒らされ、枯らされ、朽ちるだけ。


言葉が舞って、想いが零れる。
意味が壊れ、失われていく。
忘れられることは、消えてしまうことと同じ。
私は、何処にも、存在しない。


憶えていることは、罪だろうか。
背負うことは、担うことととは違うだろう。
正しさの証明を、過つばかりの指先で描く愚行を繰り返し。
それでも、此処で、変わらぬままに。




04/03 13:23 | 宛名の無い手紙 | CM:0
これまでも、これからも。


寂寥虚しく、指先に風。
散る花弁を、探せども。
遠く、遠くの、夢物語。


変化を、受け容れる。
それは、歩み。
それは、選択。
祈ることの意味を、知っている。


身体を粗末にしている。
精神を浪費している。
重ねるものは、罪、罪、過ち。
想うこと、それだけでも、この身には。


淋しい、と。
そう感じることすら、赦されぬ。
せめて人であったなら。
無い者強請りと、現の柵。


微笑む唇、瞳に悲痛。
咲く花弁が、見付からない。
これが、私を、取り巻く景色。



04/01 13:33 | 重ねる言の葉 | CM:0
誰の手にも。


また、春が訪れる。
何度巡ろうと、変わらぬ痛み。
暴力的に奪われる呼吸、それは、麗らかな陽射し。


緑が鮮やかになれば、深く刺さろう。
欠ける最中の月に、焦がれ、請い、乞う。
届かない、夢物語。


不在と戯れることすら、もう、しないのだろう。
春の、何と、空虚なことか。
こんなに容易く、忘れてしまう。


誰かに、同じことを、言うのだろう。
強制的に繰り返される絶望を永遠と呼びたくはない、けれど。
失われるべき春は廻り、忘却の果てに花が降る。



03/28 14:53 | 重ねる言の葉 | CM:2
虚空の彼方。


遠い明日を、引き寄せようとするように。

もう、二度と訪れることのない未来から垂れる糸を、私は引く。

弛めば、紅を差す注す指に絡め。

心の臓に、刻むが如く。

この存在は、赦されぬもの。

焉りの形は、既に見えているけれど。

遠い、遠い、遠い明日。

絶対に来ない明日に手を伸べて、私は今日も、祈りを捧げる。

届かぬことが約束された、孤独の底に沈む祈りを。



03/13 13:10 | 重ねる言の葉 | CM:0
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